POINT OF VIEW ポイントオブビュー

中小企業診断士

足立 早恵子

ネット販売に商品画像は必要か?

インターネットを介した商取引なしでは経済が動かないほどネット販売はB2B、B2Cを問わず、私たちの社会に根付いている。
そうした中、通販サイトなどで業績を左右する大きなポイントの一つとして位置づけられているのが商品画像だろう。
多くの事業者が商品をより魅力的に見せる写真を撮影するために試行錯誤を繰り返している。
しかし果たしてネット販売に商品画像は本当に必要なのだろうか?
そんな疑問に明確に答えを出している通販サイトが存在する。それは、京都市にある京都花き地方卸売市場を拠点とした生花の仲卸会社である有限会社みやこの通販サイトだ。


同社では自社のネットワークシステムを活用し、京都花き地方卸売り場および、なにわ花市場で仕入れた商材をタイムリに掲載し販売に結び付けているわけだが、そこに商品の画像は一切掲載されていない。
生花販売は仕入れから販売までの数時間という極めて短いサイクルで動く商品のため、仕入れてから写真撮影してサイトに掲載するまでのタイムラグが許されない。そうしたことから業界でネット販売に本格的に参入する企業が少なく、現在京都の花き市場では同社が唯一のネット販売事業者である。そんなハードルの高いネット通販に踏み出せたのは、同社が「商品画像を掲載しなくても販売できる」ための二つの条件を満たしていたからである。


一つ目は、仲卸業者である同社の顧客が生花店、葬儀社、フラワーデザイナ、生け花関係者などいわゆる「花のプロ」であることだ。彼らは産地や品種などの商品情報だけで商品の概要がつかめるため、購入に当たって視覚情報はそれほど重要ではない。そして、二つ目は同社が長年の業歴を通して高品質な商品の品揃えと圧倒的な取扱数量、そして、従業員の目利き力に定評のある事業者として業界内で厚い信頼を得ていることだ。商品を目で確認しなくても自らが求める品を確実に提供してくれるという安心感があるため顧客はリスクを感じることなくネットを通した購入ができるのである。


このように画像なしのネット通販を成り立たせるためには売り手、買い手双方の条件が揃う必要がある。逆に言えば「確実に買ってもらえる」環境を整えさえすれば、ネット通販において画像は必ずしも必要ではないということの証明でもある。そこに気づき、条件を整備できたことこそが同社の通販サイトの最大の強みだろう。
なお、同社の杉本達則社長はネット通販について「店舗へ来られるお客様にも多数利用いただいています」と話す。理由は顧客の立場では市場のセリでは予定どおりの仕入れができるかどうかわからない、または、買えたとしても価格の予想がつかないというリスクがある。しかし、同社のネット販売では翌日セリにかけられる商品の一部を「確実」に「決まった価格」で購入することができるので、これらのリスクを避けられるというメリットがあるからだという。同社では、幅広い顧客層の獲得につなげていきたいとしている。

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