POINT OF VIEW ポイントオブビュー

電通メディアイノベーションラボ部長

美和 晃

最新データでみるテレビの課題

ビデオリサーチ社が毎年実施しているメディア接触状況に関する調査から、女性の自宅内での1日のテレビ接触時間を取り出した。
たとえばF1層(20―34歳)をみると、04年に216・6分あったリアルタイム視聴時間が19年には125・6分へと1時間半も減少している。F2層(35―49歳)のリアルタイム視聴時間も1時間以上減っている。      

■世代のメディア接触特性
このグラフにはもう一つの見方がある。04年のF1層は19年のF2 へ、F2 層はF3層(50歳以上)へと年齢を重ねてきた。同じ世代に属する人々が04年から19年にかけてテレビ視聴時間をどう変化させたかを破線の枠内で確認できる。
たとえば、19年現在のF2層のリアルタイム視聴時間はこの15年間で216・6分から177・9分へと減少したが、録画した番組の再生視聴が7・3分から32・0分へと増加した結果、テレビ視聴時間合計の減少幅は13・9分に留まっている。
また、現在のF3層の15年間の変化をリアルタイム視聴と録画再生視聴の合計ベースで比較すると、むしろ75・1分も増加している。

■メディア業界のジレンマ
結局、2つの見方のどちらが正しいのだろうか。「どちらも正しい」としかいいようがない。しかし、そこからどういう課題を読み取るべきかは異なってくる。
過去を振り返ると、雑誌出版業界ではターゲットに合わせて2つの方向で変化を強いられるという経験をしてきた。その方向の一つとして、若者向けに成功した雑誌が3年、5年と経つうちに読者が年齢を重ねターゲット像に合わなくなったことに対応し、高めの年齢層向けの姉妹誌を創刊して読者を吸収しようという取り組みが数多く重ねられてきた。
もう一つの方向は、逆に若者の紙離れに応じて柔軟にデジタル空間に若年層の読者との接点を求めたり、紙にとらわれずに権利ビジネスを拡大したという方向である。        

■今後のテレビの行方
現在のテレビメディアは、グラフからも確認された通り、成り行きのまま進むと前者の方向に圧倒的に比重がかかる傾向をもつメディアといえる。後者の方向、具体的にはAbemaTVやTVerなどのインターネット向けサービスへの取り組みネット同時配信への取り組みをはじめ、新しい若年層とのエンゲージメントをいかに築いていくのかが試されている。

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