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NTTデータ

池田 裕紀

協調志向オートメーション


ITはロボットの自動化を支え、工場に導入されたロボットは事前にプログラムされた動作を24時間365日休むことなく繰り返し、一定の品質で成果を出し続けている。
億を超える商品を扱うeコマースサイトの倉庫はITが制御するロボットなくしては成り立たない。ロボットが、対象の商品が納められた棚を持ち上げて作業者の前まで運び、作業者はそこから必要な商品を取り出す。その作業効率は、人手で商品を探す場合の4倍から5倍に及ぶ。

eコマースサイト運営会社は、さらなる効率化を求めて、いまだ作業者が実施している商品の出し入れもロボットに任せられないかトライアルを続けている。しかし、その実現は大変困難だ。
人であれば、商品を見ただけで持ち上げ方を判断できる。商品のどの部分をどんな強さでつかむべきか、どの程度の力で持ち上げるべきか予測し、実際につかんで重さや堅さが想定と異なれば、瞬時に力の加減を変えることもできる。一方で事前にすべてを想定できない、目の前の状況に適切に対応し柔軟に対応する作業、すなわち非定型作業はこれまでのITには対応できないとされてきた。
このような中、自動化拡大の切り札としてAI、機械学習を用いる研究が長年続いている。eコマースサイト運営会社が主催するコンテストでは、バラバラに積みあげられた商品をさまざまなAI技術を用いて認識し、持ち上げ、運び、整理する。現状ロボットの作業は人に比べゆっくりしたものだが、未来を期待できる進化が続いている。
さらに複雑な自動化といえる自動運転でもAIの活用が模索されている。刻々と変わる道路状況に加えて、ほかの車や歩行者まで登場する現実世界での運転をAIに任せようというのだ。しかしAIを用いた自動運転の実現には、一説に100億キロメートルを超える運転経験が必要だといわれている。そこでAIに学習させるためにさらにAIが用いられる。自動

運転AIは極めて現実に近い仮想空間を生み出すAIがつくり出した世界で走り回り運転技術を学習している。
自動化を拡大する取り組みがさまざまに進む中で、人と機械の協調作業は重要な課題だ。どこまでを自動化し、どこからは人に委ねるのか、適切な協調範囲の調整、作業の再整理が必要である。ある自動運転車では想定外の事態を考慮して、人がつねにハンドルに手を添えて備えるよう求められている。別の自動車メーカは、緊急事態が想定される場所ではこれまで通り人に運転を任せる一方で、自動運転で対応できると判断した区間ではハンドルがダッシュボードに収納され、車にすべてを委ねるように促すインタフェースを提供した。こうした協調作業のデザインには自動化される作業に対する深い理解が必然だ。何げなく人がこなしてきた作業を分解し、人と機械の最大限効率的な協調に組み替えるのは、深いレベルでの作業とその成果の理解だけでなく、人という存在が持つ特性の深い理解なのだろう。

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