POINT OF VIEW ポイントオブビュー

第一生命経済研究所首席エコノミスト

熊野英生

次なるネット化の波

消費分野におけるネット化は、すでにいくつかの分野で激しい競争を巻き起こしている。
経済産業省「電子商取引に関する市場調査」では、物販系分野のeコマース化率が高いのは、書籍、映像・音楽ソフトが42・97%。生活家電、AV機器、PC周辺機器などが37・45%。生活雑貨、家具、インテリアが26・03%。衣類・服装 雑貨などが19・49%である。
本屋、CDショップ、家具屋、衣料品店などが街中から姿を消したことは、ネットシフトの裏返しである。
注目したいのは、従来はネット通販との競合が起きなかった分野でも、今後はネット取引が広がっていく可能性である。
消費分野の中で、そもそもネット取引が行われにくかった品目がある。例えば、食料品という巨大市場は、最近になって大手小売業が相次いでネットスーパーへと参入している。2020年からのコロナ禍は、消費者が対面接触を避けようとする傾向を強め、スーパーのネット取引を拡大させる契機になった。
ほかの分野では、自動車販売・自動車部品、不動産取引・住宅関連、医薬品、化粧品などでネット化も進みそうだ。
自動車は、「ネットで買うものなのか?」といぶかしく思う人が少なくないだろう。しかし、米国、中国では、現物を見ないで購入することが一般化している。米国では、有名なEV企業が販売網を持たずにEV車を売っている。日本の常識である「自動車は対面でディーラーから購入するもの」という感覚は、遠からず変わるだろう。
今年10月には、大手自動車会社がネットで新車販売を開始した。ほかにもディーラーとの間でオンライン商談ができるところもある。
すでに、中古車に関しては、ネットオークションが幅広く行われている。2000年頃までは、中古車販売の雑誌が頻繁に発行されていた。2000年以降はネット化が進み、自分の近隣地域にある店だけではなく、全国の店から中古車を買えるようになった。将来は、新車購入の心理的抵抗も小さくなっていくだろう。
医薬品は、規制によってネットで購入できる種類が制限されている。
①一般用医薬品は、一定のルールの下で、ドラッグストアや薬局で購入できる。②要指導医薬品は薬の副作用があるなどの理由で、対面販売となっている。薬剤師の説明を受けなくてはいけない。③医療用医薬品は、医師の指導の下で処方箋をもらって、調剤薬局で購入することができる。
こうした管理は、正当な理由があると思うが、コロナ禍では必ずしも副作用などとは関係のない抗原検査キットまで一般の薬局で買えないことが問題視された。
すでに、サプリメントや健康食品といった健康保持用摂取品は、eコマース化率がかなり高いから、医薬品も規制緩和が進んでネット化に向かうと考えられる。薬剤師や医師が、画像を通じたオンラインでの説明や相談を受けて、ネット販売に関与することは十分に予想される。

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