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白いきくらげ

連載「素の時代へ」⑪

突然変異の「白いきくらげ」 定常的生産を可能に

アスカグリーンファーム

2018年9月17日(月) 3343号

奈良県五條市にあるアスカグリーンファームでは、「もうかる農業」を目標に「白いきくらげ」の栽培に注力している。
一般的に、きくらげの色は黒い。ただ、突然変異によって白いきくらげが生まれることがある。その確率は1万分の1といわれている。
同社では、この白いきくらげの菌の培養に成功。周年栽培を実現し「明日香きくらげ」として販売している。
同社取締役の小川和良氏は「突然変異でできた白いきくらげのデータを分析し、定常的に栽培できるようにした点が当社の強みだ。現在はIoTを用いて、より詳細なデータ収集、実験を行っている」と話す。
ちなみに、きくらげには「白きくらげ」という品種もあるが、黒いきくらげの突然変異で生まれた白いきくらげとは品種が異なる。
日本で流通しているきくらげの97%は、中国やベトナムで生産されており、国産は3%。とくに原材料から生産まで行う純国産きくらげは1%未満といわれている。さらに、もともと珍しい白いきくらげの純国産となると、極めて希少性が高い。
白いきくらげは、栄養も満点でビタミンDが全食品の中で最も多い。整腸作用に優れ、植物性コラーゲンが豊富で美容効果も高い。中国の楊貴妃が好んで食べていたとの説があるほどだ。
 
同社では、菌床栽培できくらげを育てており、設置した棚に菌床を並べて、菌を育成。ハウス内は温度25度―30度、湿度80%に保たれている。
同社執行役員の堀川幸博氏は「気温、湿度、二酸化炭素などのデータはIoTで管理している。今後は遠隔カメラも導入したい。カメラできくらげの色や開き具合をチェックできれば、ハウス内が酸素不足なのか、温度が低いのかすぐにわかり、対応しやすくなる」と説明する。
きくらげは繊細で、気温や湿度の影響を受けやすい。良質なきくらげを栽培するには、ハウス内の環境を一定に保つ必要がある。
菌床については、今年中に自社工場建設をスタートさせるとしている。
 
「きくらげ栽培をスタートしたのは2015年。温度や湿度などのデータを取りながら、高品質なきくらげ栽培の手法を模索していたが、当初はきくらげが高温障害にかかったり、冬場は暖房が必要になったり、24時間体制で臨んでいた」と小川氏は振り返る。
こうした苦労を経て、現在は1菌床あたり600グラムを安定的に栽培できるレベルに到達。1棟のハウスに約4000菌床を栽培し2・4トンを収穫。それが年4回、菌床を入れ替えながら栽培し、年間約9トンの収穫量を見込む。
現状、白いきくらげは、地元のレストランやスーパーに卸している。関西では知名度も上がり、需要も上がっているという。次は全国展開だが、この点について堀川氏は「全国展開するには、相応の出荷能力を確保しなければならない。栽培の基本は菌床工場であり、その増設を予定している」と話す。
また、白いきくらげのさらなる認知度向上を図る必要もある。
「白いきくらげは、無味無臭なので、いろいろな味付けができる。デザートとして食べることもできるし、しゃぶしゃぶにしてもおいしい」と小川氏はアピールする。
ちなみに、大阪・北新地のそば屋「玄盛」では、麺風にスライスした白いきくらげを提供している。

将来展望として堀川氏は「まずは、きくらげで栽培手法を確立させ、その上で、きのこに特化して、IoTを活用した栽培を推進していきたい」と述べる。
小川氏は「農業の衰退を食い止めるには、もうかる農業を考える必要がある。そのためにスマート農業を展開し、データを活用することで、だれもが容易に農業に参入できるようにしたい」と話す。

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