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黄金果や仙人桃など非常に高価で、日本では手に入りにくい農作物を国内の育苗棟で種から育成

連載「素の時代」⑩

ケイ・オプティコムらの挑戦

2018年8月13日(月) 3339号

ケイ・オプティコムは、アクトウォーターフォーラム(大阪市、岸岡俊代表)とシリアス(大阪府守口市、近藤巌社長)と協力し、大阪府八尾市において、今年4月からIoTを活用した農業育成の検証を展開している。
現在は、原産地の台湾でも珍しいとされる「黄金果」や中国の古典にも登場する「仙人桃」などの栽培に取り組んでいる。
ケイ・オプティコム経営本部経営戦略グループIoTプロジェクトチームの吉川幹人氏は「農作物の中でも、海外で人気があり、日本では生産できない作物の栽培にチャレンジしている。これまで日本の消費者がなかなか手に入れられなかった作物が提供できるようになることで付加価値の高い農業が可能になる」とプロジェクトの趣旨を話す。
海外では人気があるのに、日本ではお目にかからない果物や野菜は意外なほど多い。そうした作物は検疫に引っかかるなど、輸入時の品質保持が難しく、日本国内ではほとんど流通していないのだ。ただ、種や苗は比較的容易に輸入できるので、ならば種や苗を海外から持ち込み、日本国内で栽培しようというのが今回のプロジェクトの醍醐味だ。
こうしたアイデアは岸岡氏によって発案された。
その岸岡氏はこう語る。
「もともと砂漠で農業ができるようにしたかった。私は電気系の技術者で、農業の専門家ではないが、技術を駆使して、農業に適さない悪環境でも作物を栽培できる仕組みを模索してきた」。
一方、シリアスはコストのかからない育苗棟の開発を注力していた。
近藤社長は「従来のビニールハウスなどでは、冬場に暖房費がかかるが、そうしたコストを最低限に抑える育苗棟の開発に進めていた。ただ、当社はIoTが不得意だったので、岸岡氏に相談し、結果としてケイ・オプティコムとの連携につながった」と話す。

種や苗は栽培するのに適した環境に保たれた育苗棟内で育成される。
棟内にはセンサや通信機器が設置され、温度や湿度、照度など環境データをIoTで管理する。
IoTで取得したデータはスマートフォンなど遠隔からチェックできる。
さらに電気的刺激や水中の溶存酸素濃度の調節により、収穫量をより多く、収穫時期をより早くする促成栽培も推進している。
いわゆる電気栽培だが、電気的な刺激を与えて、苗の成長を促進させている点もこのプロジェクトのポイントだ。ここでも岸岡氏の特許技術が駆使されている。
「例えば、電気を使って肥料をつくっている。これにより苗の成長スピードが格段に上がる」(岸岡氏)。
ケイ・オプティコムは、農業とIoTを組み合わせることで、海外産の果物や野菜など、栽培ノウハウを保有していなくても農作物を育成できるシステムの開発を志向。「農業ソリューションとして展開すれば、育成ノウハウがない事業者であっても、手軽に農作物の育成ができるようになる。結果として後継者不足に悩む農家の課題解決にもつながる。パッケージソリューションとして育苗棟をセットにして販売することも検討していく」と吉川氏は述べる。
現状、濃厚な甘さが売りの台湾バナナの栽培にも取り組んでいるが、今秋には収穫できるので、味見をした上で、いけるとなれば、まずは、台湾バナナ用のパッケージソリューションを第一弾として展開したいとしている。
  
ICTを駆使した最先端農業を実践する同プロジェクト。一方で課題もある。その一つが農業のノウハウが足りないことだ。3社は技術のプロだが、農業のプロではない。
「苗はすくすく育つが、われわれも手探りでやっているので、この後、どんな育て方をすればいいのか試行錯誤が続く。プロの農家の協力があればよりよいソリューションになる」と岸岡氏は言及する。

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