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カフェX

CESと米国ICT動向④

2018年2月19日(月) 3317号

ラスベガスからサンフランシスコに移り、市内ミッション・ストリート近くにあるコーヒーショップ「カフェX」を訪問した。カフェXは無人店舗で、ロボットによるコーヒーの提供が話題を呼んでいる。
カフェXのスタッフによると同社は2014年に創立。当初は2―3人でやっていたが、現在は約20名で展開している。
コーヒーはキオスク端末から注文。2通りの注文方法があり、一つは直接キオスク端末で注文するやり方だ。要領は日本の自動販売機や牛丼チェーン店の仕組みと変わらない。もう一つはアプリを使った注文。利用者のスマートフォンに、カフェXのアプリをダウンロードして、アプリを使って来店前に予め時間指定でコーヒーを注文すれば、淹れたてのコーヒーをピックアップすることができる。一つひとつのコーヒーカップには、それぞれコードがあてがわれていて、利用者は、コードを確認してコーヒーをピックアップする。
ロボットは1分間に1杯のコーヒーを提供できる。1時間で120杯のコーヒーがつくれる計算だ。6杯―8杯くらいは同時に提供できるそうだ。
スタッフによると、利用者からは「現状ワンサイズしかないコーヒーカップを、大中小サイズに増やしてほしい」「コーヒー以外のドリンクも出してほしい」といった要望が来ている。こうした要望を踏まえて同社は、ロボットが対応できるメニューをどんどん拡充しているところだ。
AI、ロボットを駆使した店舗は、確かに効率的で利便性も高い。とくにビジネスマンなど忙しい人たちにとって、長い列に並ばずに淹れたてのコーヒーをすぐに飲めるというのは魅力だ。店舗側にとっては初期投資がかかるものの、人件費を抑制できる分、長い目で見ればコストメリットが利く。ロボットのバージョンアップでサービスの高度化も可能になるし、こうしたロボットの活用が各方面に広がれば、ロボットへの投資自体も低廉化するだろう。
一方、AIやロボットに職業を奪われるという不安が米国民の間で広がっている。この点をスタッフに質問すると、現状のカフェXでは「パラレルジョブ」という手法を採っており、雇用者数は変わっていないという。ロボットがサービスをしている間、スタッフはこれまで通り、店舗にいて利用者の要望を聞き、オフィスにはエンジニアがいて、システム開発・運用に従事している。
ただ、店舗増など規模拡大に比例して雇用を増やすかどうかはわからない。パラレルジョブはあくまでスタートアップ時の手法だそうで、どうやら雇用は奪わないが、生み出しもしないということのようだ。詭弁と言えば詭弁だが、これがAI・ロボット時代の現実なのだと妙に納得した。  
米調査会社フォレスターリサーチによるとAIやロボットで一定程度の職業は剥奪されるが、新たな仕組みを入れることで人間が行う仕事も出てくるとしている。17%ほど雇用は減るが、新しい雇用も10%ほど出ると予想している。
ただ、これは米国の状況であり、日本のように少子高齢化で労働力不足に悩む国にとっては、不安よりも期待のほうが大きいのではないか。雇用は奪わないが、生み出しもしないという流れは、経済環境が変容し、新たなエコサイクルを構築しなければならない日本社会に、なじみやすい。
まだまだ課題はあるものの、AI・ロボットは救世主になり得るとの思いを新たにした。

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