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連載「研究派」291

「光アクセスシステム仮想化技術

NTTアクセスサービスシステム研究所

2019年8月12日(月) 3381号

NTTアクセスサービスシステム研究所光アクセス基盤プロジェクト研究員の栩野貴充氏は、光アクセスシステム仮想化技術の研究開発を推進している。この技術は光アクセスネットワークの装置に仮想化技術を適用し、装置を構成する機能をソフトウェア部品化していく取り組みだ。これまで難しいとされてきた光アクセスシステムの機能まで、徹底的にソフトウェア部品化するNTTの取り組みは稀有で世界的にも注目を集めている。
光ブロードバンド市場は成熟期に入った。今後の光アクセスシステムでは、ユーザの用途に応じたシステムの柔軟性や、サービス運用のしやすさが求められる。光アクセスシステム仮想化技術はこういったニーズに貢献する技術だ。
従来のアクセスネットワークの装置では、ハードウェアへの機能実装が中心だった。しかし、それではハードウェアに実装された機能を、ユーザの要求に対して柔軟に入れ替えることは難しい。そういう枠組みから脱却するため、光アクセスシステム仮想化技術では、機能を一つひとつソフトウェアとして分離し、自由に組み合わせられるようにする。このように機能を部品化することにより、装置上での機能の入れ替えが容易になり、サービスの要求に柔軟に対応可能な光アクセスネットワークシステムが実現する。NTTではこの部品化の取り組みを、ソフトウェア実装の難しい、高速な処理が必要な機能に対して挑戦している。
光アクセスシステム仮想化技術の適用先として光ブロードバンドサービスのみならず、多様な光アクセスネットワークサービスに照準を定めている。

栩野氏は「光アクセスシステムの柔軟性を向上することで、これまで提供してきた光ブロードバンドサービスに加えてサービスを提供する領域を拡大していきたい。それが大きなインパクトになると考えている」と話す。
昨年11月には、光アクセスシステムの一例として、PON(Passive Optical Network)の性能をつかさどる「帯域割当制御(DBA)機能」の「ソフトウェア部品化」と、2つの異なる構成の局内装置(OLT)プロトタイプ検証機を実現し、サービス要件に応じてDBA機能を入れ替える実証実験に世界で初めて成功。この技術により、通信速度やネットワーク遅延、設備の設置スペースといったサービス要件にすばやく適応する光アクセスシステムが実現する。構内LANや工場などの、さまざまな用途で光アクセスネットワークを容易に構築可能になる。
またブロードバンドサービス分野に関わる業界団体「BBF(Broadband Forum)において、DBA機能のソフトウェア部品化のユースケースについて提案し、さらにAPI仕様の国際標準化にも注力。BBFは、今年2月にAPI仕様を規定した国際標準を公開した。

国際標準は、二つの文書(TR―402とTR―403から構成されている。TR―402では種々のユースケースを含むDBA機能のソフトウェア部品化に関する概要と、APIの機能要件を規定。TR―403では、APIの詳細(フォーマットおよび性能要件)が仕様化された。
「DBA機能の部品化を実現するAPI仕様が国際標準として普及することで、光アクセスシステムの適用領域が大きく拡大すると考えている」と栩野氏は述べる。 
NTTでは世界のキャリア・システムベンダ・標準化団体・オープンソースソフトウェア開発団体などと協調し、このAPIの普及と多様なサービスに迅速に対応する光アクセスシステムの実現を目指すとしている。
大学時代は、微細加工技術の研究をしていた。「学生時代に短期の研究留学でドイツに行った。そこでは、研究者が未来をよりよくするために勤勉に研究していた。その姿が刺激的で、自分も研究者になりたいと思うようになった」と語る。
NTT入社後は、光アクセスシステムのネットワーク制御に関する研究開発に取り組んでいる。
研究モットーは「失敗を恐れずにチャレンジし続けること」。
趣味はフットサル。研究所のサッカー部に所属し、昼休みに汗を流すという。
「それがとても楽しくて、自宅でも練習している。審判のライセンスも取得した」と話す。

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